抗がん剤投与前に予防措置により、口内粘膜へ薬剤が到達する量を…
副作用の原因
抗がん剤によって、味を感じる器官である味蕾(みらい)や、舌神経や舌咽神経など味覚に関わる神経が障害を受けることで味覚障害が起こります。
また、亜鉛を体外に排出しようとする抗がん剤の働きで、味蕾が必要とする亜鉛が欠乏することも原因とされています。
高齢者に多い口腔の乾燥や、吐き気、下痢、便秘、不安など他の副作用が影響することもあります。
味がしない、金属の味がする、塩やしょうゆ油を苦く感じる、何を食べても甘く感じるなど、味覚障害は食欲不振につながります。
食欲不振は栄養障害や体重減少を引き起こし、患者さんのQOLを低下させ、がん治療の効果に悪影響を及ぼします。
治療中だから味覚障害は仕方がないと自己判断せずに、医師に相談して食欲を取り戻すことも大切です。
味覚障害を予防するために
- 味覚障害は口内乾燥や口内感染症により悪化します。日頃から歯や舌のブラッシングなど口腔ケアを心がけて。
- カキ、スルメなどの魚介類、乳製品、玄米、ゴマ、豆類など亜鉛を多く含む食品を日頃から接種しよう。
食事の工夫
- 少量ずつ数回に分ける。
- 食事前にうがいをして口腔内を清潔に。
- よく噛んで食べる。
- 熱いものは冷ましてから食べる。
- 酢の物やレモンなど酸味を取り入れた調理を。
味付けの工夫
■ 苦味・金属味が強い場合
- 塩分を控えめにする
- だしを利かせて味をはっきりさせる
- よく噛んで食べる。
- 酸味、薬味、香辛料をうまく利用する
- 汁物を取り入れる
■ 甘味が強い場合
- 砂糖やみりんを控える
- しょうゆ味、味噌などを多めにして塩味を強くする
- 酸味や香辛料でアクセントをつける
- 汁物を取り入れる
治療でできること
味覚障害の改善には、亜鉛の摂取が効果的です。亜鉛が多く含まれている食品を日常的に摂取することが理想的ですが、極端な亜鉛不足の場合は、亜鉛製剤で亜鉛を補充します。
食事が摂れない状態が続けば、輸液や経腸栄養が必要になる場合もあります。
口内炎が食欲不振を助長している場合は、口内炎予防も大切になります。口内炎にお悩みの方は、下記の記事も併せて参照してみてください。
口腔ケアとがん治療の結びつきはこちらの記事「合併症のリスクが…
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参考文献:抗がん剤治療中の生活ケアBOOK - 中川靖章 監修