少しの工夫とサポートで、働き続けることが可能 がんがわかると…
少しの工夫とサポートで、働き続けることが可能
がんがわかると、多くの人が体力的な心配や会社に迷惑がかかると思い退職を考えます。
実際に厚生労働省の調査では、がんの診断後に約30%の人が依願退職をし、4%の人が解雇になっています。
しかし仕事を続ける事は、経済的に必要という以外にも、病気以外へ意識をシフトできたり生きがいになる、という意味でも良い効果があります。
通院のための時間単位での有給取得や、通勤ラッシュを避けるための時差出勤、またコロナの影響で珍しくはなくなったリモート出社など、会社側の少しの工夫とサポートで働き続けられるケースが多くあります。
働く側、企業側にできること
がんを患う方の3人に1人は現役世代(20から64歳)です。従業員の7人に1人位ががんになる計算です。
人口減の今、仕事に精通した人材をがんで失うのは企業にとってもあまりにも惜しいことです。
ただし、がんの種類によって結果が異なりますし、治療には個人差があります。そこで企業と働き手の間でできることとできないことを丁寧に話し合うことが必要になります。
- まずは就業規則を確認
- 社内の窓口(上司、人事総務部、社会保険労務士、保健師、産業医等)に相談
- 勤務状況を書面の形で主治医に見せる
- 就業上の可否や今後の治療の進行について主治医に確認
- 治療と仕事の両立を前提とした就業規則を整える
- 社内の相談窓口や支援制度を明確にしておく
- 相談を受けたら、労働者・産業保健スタッフと相談しながらサポートプランを立てる
*産業保健スタッフやソーシャルワーカーが会社と病院の間をつなぐと良いでしょう。[会社に産業保健スタッフがいない場合は、都道府県の「産業保健総合支援センター」や「がん相談支援センター」に相談しましょう。
企業側が、治療と仕事の両立支援で心がける3つのこと
本人の気持ちを尊重する
本人が病気を打ち明け相談することから支援が始まります。調査によると7〜9割の人が仕事を継続したいと考えています。打ち明けるとマイナスになると本人が感じていれば打ち明けずらく、診断された本人はショックを受けているため、気持ちに寄り添いつつ意向を確認します。
連携と柔軟なサポート
今後の対応について具体的なサポートプランを立てます。すべて人間は遺伝子が違うため同じ種類のがんでも治療法や副作用は人によって違います。また予測できないことも起こりますので柔軟な対応を心がけましょう。
サポートプランの例:時間単位での有給取得、傷病休暇の設定、フレックス勤務、時差出勤、時短勤務、在宅勤務、試し出勤、マイカー出勤、業務軽減、配置転換など
職場における配慮
周囲もがんについて正しく知っていくことが必要です。サポートは大切ですがいつも通り普通に接してもらえることを望んでいる患者さんが多いです。また個人情報の管理に気をつけましょう。会社の関係者にどこまで病気の情報を開示するかは本人の意向を尊重するべきです。
ベクトル画像 著作者Work vector created by freepik – www.freepik.com
参考文献:がん検診のススメ第4版「先生、がんから身を守るには、どうしたらいいでしょうか?」 – 監修 中川恵一