乳がん手術の後遺症①「リンパ浮腫」とその治療について

乳がん手術の後遺症①「リンパ浮腫」とその治療について

乳がんの手術後には、切開した傷口以外の場所がむくんだり痛んだりする後遺症があります。
後遺症の多くは数か月で良くなりますが、治療が必要なこともあります。

手術後に起こるむくみや痛み

手術後の後遺症としては、「手術した乳房が痛む」「肩や腕が動かしにくい」「手術した側の腕の感覚が鈍い、感覚がない」などの症状がよくみられ、こうした症状の多くは数か月で和らぎます

リンパ浮腫

リンパ節郭清放射線治療を行った場合には、リンパの流れが悪くなるために腕のむくみやしびれが起こる「リンパ浮腫」という後遺症があり、リンパ浮腫には以下のような予防法があります。

・手術翌日からリハビリテーションを開始してリンパの流れをよくする
・重いものを長時間持たないようにする
・腕や肩を圧迫するような窮屈な衣服や、アクセサリーを避ける

細菌感染により新たな浮腫の発生や悪化、蜂窩織炎*につながることもあるので、むくみがあるときは特に皮膚を清潔に保ち、けがや虫刺されに注意する必要があります。
腕がむくむからといって、決して鍼灸や強い力でのマッサージは行わないようにしてください

*蜂窩織炎(ほうかしきえん)
リンパ浮腫が起きているところに細菌が侵入すると、一気に増殖し、皮膚のすぐ下から深部まで強い炎症が広がる。この状態が蜂窩織炎。
蚊に刺されたような赤い斑点が出ることが多く、腕全体が赤くなり、高熱を発することもある。

リンパ浮腫の治療

リンパ浮腫に対するリンパ管吻合などの外科的治療や、薬物療法の効果は明らかではありません。
リンパ浮腫の治療としては、下記を組み合わせて行う複合療法が効果的です。

・弾性着衣やバンデージによる圧迫療法
・圧迫状態での運動療法
・リンパドレナージ(リンパマッサージ)
・保湿クリームによるスキンケアなど

2008年より圧迫療法に用いる弾性着衣は、療養費扱いとして保険適用になりました。

これらのうち一つだけを単独で行う場合は効果が期待できず、複合的に行うことが重要です。詳しくは、主治医や乳がん看護認定看護師*をはじめとした専門看護師などに相談するのが良いでしょう。

*乳がん看護認定看護師
乳がんの患者さんと家族に対して、治療選択のサポート、リンパ浮腫予防のためのアドバイスなど、身体的、心理的サポートを行う専門看護師。
日本看護協会による認定制度で、専門の教育・研修が必要

 
リンパ浮腫の初期症状やケアの詳細はこちらの記事に記載があります。
 

リンパ流れの滞りによる「リンパ浮腫」の初期症状と予防ケア

乳がんの手術で腋窩リンパ節(わきの下のリンパ節)を切除した場…



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参考文献: 国立がん研究センターの乳がんの本 - 監修 木下貴之 / 田村研治ほか

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