初期に自覚症状の少ない「肝がん・膵がん」によくみられる症状

初期に自覚症状の少ない「肝がん・膵がん」によくみられる症状

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほどで、肝がんの初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、肝がんの多くは肝炎ウイルスによるもので、ウイルス性肝炎*慢性肝炎肝硬変*へと進行して、最終的に肝がんを発症することから、急性肝炎や肝硬変などに伴って症状が現れることがあります。

急性肝炎では、食欲不振や全身倦怠感、発熱などが特徴的です。慢性肝炎では目立った症状はありませんが、肝硬変(またはその一歩手前)くらいになると、全身倦怠感や食欲不振、黄疸、おなかの張り、便秘・下痢といった症状がみられます。
膵がんの初期も肝がん同様に症状がなく、早期発見が難しいがんです。

*ウイルス性肝炎
肝炎ウイルスの感染によって発症する肝臓の炎症疾患。肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型がある。
B型(血液や体液を介して感染)、C型(血液を介して感染)は急性肝炎を経て慢性化。とくにC型肝炎の70%以上が慢性化する。
カキなど貝類の生食で感染するA型、生肉を介して感染するE型は慢性化しない。D型は日本ではほとんどみられない。

*肝硬変
長期間にわたって持続した慢性肝炎の炎症により肝細胞の壊死と再生が繰り返され、肝臓が線維化した病態。
肝硬変になった肝臓はかたく、でこぼこしている。肝硬変の症状は、黄疸、食欲不振、全身倦怠感、おなかの張り、貧血、浮腫、皮下出血など。
肝硬変が進行すると、腹水や肝性脳症という意識障害を起こしたり、食道や胃にできた静脈瘤が破裂して大量吐血や下血が起こることもある。

胆汁が血管内に逆流することで現れる「黄疸」

肝がん、胆道がん、膵がんに共通してみられる症状としては、黄疸があります。
黄疸とは、血液中のビリルビン*濃度が高くなり、皮膚や目の白い部分が黄色くなる状態です。ビリルビンは、肝細胞に取り込まれて水に溶けやすい形になり、胆汁(肝臓でつくられる消化液)の成分として、胆道を経て十二指腸へ排泄されます。
肝がんの場合は、肝細胞の機能が低下してビリルビンの取り込みが障害されることで黄疸が起こります(肝細胞性黄疸)。
胆道がんや膵がんの場合は、がんによって胆管が閉塞し、胆汁が血管内に逆流することで黄疸が起こります(閉塞性黄疸)。
黄疸が生じると、ビリルビンとともに血中に流れ込んだ胆汁酸という物質が皮膚の抹消神経を刺激するため、全身に強いかゆみを感じます。そのほか、特徴的な症状として、便の色が白っぽいクリーム色になる(白色便)、尿の色が濃くなる(黄疸尿)などがあります。

日本人などの黄色人種は皮膚の色からは黄疸の判断が難しいため、目の白い部分をみて行います。ミカンなどのかんきつ類を沢山摂取すると、手の平が黄色くなることがありますが、これは黄疸ではなく、病気ではありませんので心配する必要はありません。

*ビリルビン
胆汁の主成分のひとつである黄色い色素。
赤血球が役割を終えると、その中のヘモグロビンが脾臓や肝臓で分解されてビリルビンがつくられる。
肝細胞に取り込まれたビリルビンは、胆管内に分泌されて、尿や便として排泄される。

進行すると現れる症状

初期に症状がない肝がんや膵がんでも、進行するとさまざまな症状がでてきます。
進行した肝がんでは、腹部のしこり圧迫感を訴えることが多く、がんが破裂すると腹部の激痛血圧低下なども起こります。
進行した膵がんでは、腰や背中の痛みが現れるほか、糖尿病を発生することもあります。
胆道がんでは、進行具合にかかわらず、右わき腹やみぞおちに痛みを感じることがあり、進行すると、体重減少、食欲不振、発熱などの症状もみられるようになります。


参考文献: 国立がんセンターの肝・胆・膵がんの本 - 監修 島田和明 / 奥坂拓志 / 池田公史

この記事がお役に立ちましたら、
サードプレイスの活動をサポートしてみませんか?