2019年の春に子宮頸がんを告知され現在経過観察中。 その後…
以前、サードプレイスのインタビューに登場いただいたYukkoさん。一冊の本を作ることを目指す「あの風企画」に取り組んでいるとお話いただきましたが、そちらの短歌集「黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える」が完成し、手元に届きました。
本書は、下記のようなYukkoさんの思いからスタートした「あの日の風を記憶するわたしの31字」プロジェクトで、26名の女性サバイバーが、現代歌人の岡野大嗣さんによるオンラインレッスンを通じて詠んだ短歌が集められた”短歌集”になります。
闘病の不安のなか、専門書や生々しい体験記を読むのが辛いとき、短歌は「31字のお守り」としてそっと心に寄り添ってくれる。
がん当事者の「闘病の不安に寄り添う、女性がんサバイバーによる短歌集を出版したい」という思いから生まれた「あの風プロジェクト」。
Ⅰ章に26首の短歌、Ⅱ章に連作(複数の短歌をまとめて一つの作品として構成するもの)、Ⅲ章にサバイバーストーリー(短歌とその背景にあるストーリーが掲載された作品)という構成になっており、Ⅰ章の26首の短歌では、すべての作品が素敵なイラスト付きで掲載されています。
収録歌より
またがんと生きる私に十字架を差し込むごとく天窓の陽は
蝉の声まぶしく耳をつんざいて歪んだ脳に「生きろ」と響く
髪の毛と眉毛と睫毛それとそれと目には見えない鼻毛ください
*収録歌と画像は、一部左右社さんのWebサイトより引用しています。
短歌というのは不思議ですね。五・七・五・七・七の31字での表現は、一見短い文章であるのに、読者である私自身が、その短歌を詠んだ方が向き合っている瞬間の感情やシーンに触れる事ができた気がします。
環境や場面・立場の違う26名の方々それぞれの経験された不安や、思いというものが凝縮された「あの日の風を記憶する」一冊となっていました。
最後に、本書のまえがきの一部であるYukkoさんの言葉を。
さまざまな風に吹かれるたびに、
私たちは数えきれないほどの喜怒哀楽をしめすけれど
そのどれもが大切で、どれも忘れたくないと感じます。忘れたくないあの日の風を
短歌という31字のことばの中に、ぎゅっとつめ込みました。そんな「ことばのお守りたち」の中に
あなたの心に寄り添うものが、きっと見つかりますように。
Yukkoさんのインタビューは、こちらの記事に掲載しています⬇️
SNSを通じて励まし合う同病の方との繋がりもできた ── 家…