高額療養費制度を理解して、自己負担額や支給額を知ろう

高額療養費制度を理解して、自己負担額や支給額を知ろう

がん治療を受けるうえで必ず知っておきたい高額療養費制度。
計算方法のほか、細かな要件、さらに減額される仕組みなどもきちんと理解しておくと良いでしょう。

年齢や所得で異なる自己負担限度額

医療機関や薬局で支払った金額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合、超えた分が払い戻しされます。自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。
直近12か月間にすでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目以降の限度額がさらに下がる「多数回該当」が適用されます。

自己負担限度額

■ 70歳未満の場合

所得区分1か月当たりの自己負担上限額多数回該当
①区分ア
標準報酬月額83万円以上(年収約1,160万円~)
252,600円+(医療費-842,000円)×1%140,100円
②区分イ
標準報酬月額53万~83万円未満(年収770万~1,160万円)
167,400円+(医療費-558,000円)×1%93,000円
③区分ウ
標準報酬月額28万~53万円未満(年収約370万~770万円)
80,100円+(医療費-267,000円)×1%44,400円
④区分エ
標準報酬月額28万円未満(年収~約370万円)
57,600円44,400円
⑤区分オ
低所得者(住民税非課税)
35,400円24,600円

■ 70歳以上の場合

所得区分1か月当たりの自己負担上限額多数回該当
外来(個人ごと)外来+入院(世帯ごと)
①現役並み所得者44,400円80,100円+(医療費-267,000円)×1%44,400円
②一般12,000円44,400円適用なし
③低所得者Ⅱ(Ⅰ以外)8,000円24,600円適用なし
Ⅰ(※1)15,000円

※1 年金収入のみの場合、年金受給額80万円以下など、総所得金額がゼロ

自己負担額と支給額

たとえば、手術による入院で一か月間の医療費が100万円になった場合、3割負担の70歳未満では30万円支払うことになります。しかし、70歳未満で中程度の年収ならば、限度額87,430円を超える分(212,570円)については払い戻されます。

■医療費が100万円だった場合(70歳未満・年収約500万円)

費用算出の決まり

高額療養費の対象となるのは、手術や入院費、薬など、保険適用される診療の自己負担額分です。
入院費の中でも、差額ベッド代、食費、先進医療にかかる費用は支給の対象となりません。また、同じ月に同じ医療機関を受診した場合でも、入院と外来、医科と歯科は合算できません

本来、医療機関ごと、診療科ごとの計算となりますが、70歳未満の場合、複数の医療機関の受診や同じ世帯にいる他の人(同じ医療保険に加入していることが条件)の受診でそれぞれ21,000円以上の自己負担があれば合算できます。(70歳以上の場合、医療機関、診療料、入院・外来の区別なく合算可能)。
2か月にまたがって入院した場合は、各月ごとの自己負担額に対して、高額療養費の対象となるかどうかを判断します。

また、こちらの記事では公的医療保険についてまとめています。ご自身が当てはまるものを確認してみましょう⬇️
 

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参考文献:国立がん研究センターのがんとお金の本 (国立がん研究センターのがんの本) – 監修 片井均 国立がん研究センター中央病院 胃外科長 / 大江裕一郎 国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科長 ほか

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