重粒子線治療を受けた山本翔太さんの治療体験談【上咽頭がん(腺様嚢胞がん)】

重粒子線治療を受けた山本翔太さんの治療体験談【上咽頭がん(腺様嚢胞がん)】

以前サードプレイスから重粒子線治療についての特集を行いました。*1
治療についての実際の体験談もお伝えできればと思い、上咽頭がん(腺様嚢胞がん)で重粒子線治療を経験したヤマショーさんこと山本翔太さんに依頼してお話を伺いました。
 

名前

山本翔太

病名上咽頭がん(腺様嚢胞がん)Ⅳa
状況経過観察中(骨転移あり)
罹患年2015年
プロフィール愛知県在住/33歳/男性/製造業 
自己紹介今から12年前に結婚し、3人の子宝(全員男の子)にも恵まれ、大きな病気とは無縁の平穏な生活を送っていました。しかし口の中の違和感から病院を受診した事がきっかけでステージⅣaの上咽頭がんと告知を受け、翌月に重粒子線治療を行い、現在に至ります。告知を受けてから6年目になります。

聞いたこともないような名前の病気。はじめから、選択肢は重粒子線治療のみでした。

―貴重なお時間をありがとうございます。どのように病状に気付き、お医者さんから宣告を受けたのかを教えていただけますか。
はい。はじまりは、麻痺してるような口側面の違和感からです。
顔の右側の感覚が無い事に気づき、耳鼻科などいくつかの病院を経て愛知県がんセンターで上咽頭の腺様嚢胞癌と宣告を受けました。正直この言葉を聞いた時は全てが初めて聞く言葉で何も理解できなく混乱しました。
―その際に何か重粒子線以外の治療はうけましたか?
受けていません。
―初めから重粒子線治療のみの選択だったのでしょうか?
はい。主治医から、希な癌で進行が遅いこと、再発や転移を繰り返す、しつこい癌と特徴を聞かされました。治療については、「抗がん剤が効きにくく、放射線も感受性が悪いこと。また手術は頭蓋骨まで浸潤してるので出来ない」と説明を受けました。それを聞き、治療法がないってこと?と戸惑いましたが、効果があるかもしれない、重粒子線治療を紹介され受けることに決めました
―どちらの病院で重粒子線治療を行いましたか。
兵庫県立粒子線医療センターです。

兵庫県立粒子線医療センターの外観と部屋のお写真(ヤマショーさんのブログ「Story~腺様嚢胞癌闘病記伝~」より)

―その結果はいかがでしたか。
ミリ単位で少しだけ小さくなりました。
―治療はどのように行われましたか。
入院にて、全部で32回の照射でした。
―その後どのようになり、今現在はどうでしょうか。
上咽頭の腫瘍は現在も残っているけれど進行することなく転移も骨だけに留まっています
―他治療を行っていないとのことで、そちらは重粒子線治療の効果と捉えられますでしょうか。
はい、その認識です。
事前に検査でPET-CTを行いましたが、もしかしたら骨転移は最初からあったかもしれず、進行の遅いがんだったため見つけられなかったのではないかとも言われています。
―重粒子線治療に伴う痛みや副作用などはありましたか。
痛みは肌に焼けたようなヒリヒリした痛みを感じました。副作用は口内炎や味覚異常、唾液減少による口の渇きがありました。
―肌の痛みは照射部分でしょうか?また、それに伴う赤みなどの症状はありましたか?
はい。重粒子線はピンポイントの照射と紹介されていることが多いのですが、自分は腫瘍部分のみではなく顔半分くらいの結構広範囲に照射され症状が出ました。赤みもありました。
―なるほどです。また、重粒子線治療の後遺症にも悩まされているとお聞きしました。
はい。味覚異常・白内障・右目失明・ドライアイ・開口障害・嚥下障害・発声障害・放射線脳壊死などの後遺症に今も悩まされています。特に味覚障害は食べる事が大好きなので辛いです。
―これらの後遺症は全て、治療前に可能性がある後遺症として説明を受けていましたでしょうか。
はい。その他にもたくさん副作用や後遺症の説明はインフォームドコンセント*2を行いました。
―重粒子線治療を受けた後はどのような事を行いましたか?
白内障手術・放射線脳壊死に対するステロイド治療や摘出手術。またステロイド治療に伴うカリニ肺炎や大腿骨頭壊死です。
―退院から現在に至るまでの通院頻度や治療状況についておしえていただけますか
通院頻度は約1ヶ月に2回。治療状況につきましては、骨に転移していることから3ヶ月に一度ゾメタという点滴を投薬し、進行を遅らせています。原発部位の上咽頭と転移しやすい肺につきましてはCT・MRIで経過観察中です。
―病院はどこかのタイミングで変わられましたか?
骨転移が発覚したタイミングで5回セカンドオピニオンを受けましたが、愛知県がんセンターでずっと変わらず治療を受けています。
―病院選びのポイントがあればお聞かせください。
設備やがん治療に対しての実績が充実している病院です。

治療費、保険、お仕事のこと。

―実費での治療費はいくら位かかりましたか。
計算していません。数百万円以上はかかっていると思います。
―重粒子線治療は高額とお聞きしておりますが、治療だけで具体的にいくらくらいかかったか分かりましたら教えていたけますか。
当時は先進医療で314万円かかったと聞きました。
―高いですね、、保険などは入っていましたか?
はい。結婚を機に先進医療もまかなえる保険に入っていたため、重粒子線治療の費用は全部保険でまかなえました。
でも、結婚していなかったら保険にも入っていなかったと思います。
―お仕事はどうされましたか。
告知を受けてからもずっと同じ会社に勤めています。骨に転移していることから身体への負担が少ない部署へ異動となり元気に働かせてもらっています。

病気になって、思うこと。

―治療を行う前と後とで考え方に変化などはありましたか。
はい、あります。
―どんな形で変わりましたでしょうか。
大まかにいうと当たり前のことが当たり前ではなくなったことで、人生をみつめるようになりました。治療前は端的に言うと自分のことしか考えていないような人間でした。いまは家族への感謝が大きいです。でも病気になって気がついたことは沢山ありますが、僕は病気に感謝はしていません。
―最後に今、闘病中の方へ一言おねがいします。
あなたはひとりじゃないよ。

今回のインタビューでは重粒子線治療に焦点を当てて、インタビューさせていただきました。
山本さんの病気についての経過や詳細はブログ「Story~腺様嚢胞癌闘病記伝~」でも詳しく紹介しています。
また、インスタでは病気の報告や日々の気づきなどもUPしており個人的には漢字の解釈シリーズがすごく好きです。

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*1)重粒子線治療についての特集記事


*2)インフォームドコンセントについての記事

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