ヒーリングはアメリカの病院でどのように取り入れられている?セラピストとしてがん病棟へ勤務しているMihoさんへインタビュー

ヒーリングはアメリカの病院でどのように取り入れられている?セラピストとしてがん病棟へ勤務しているMihoさんへインタビュー

現代医療と自然療法とを混合して行う「統合医療」という言葉。私自身は、聞いたことはあっても、自然療法がどのように医療現場に取り入れられているのかは、ほとんど知りませんでした。

インタビューでは、アメリカ・カリフォルニア州にあるHoag Hospitalにて、レイキセラピストとして勤務されているMihoさんに、補完療法・自然療法に含まれるヒーリングについて、主に「ヒーリングとは何か」と「アメリカの医療現場でどのように取り入れられているのか」の2つに焦点を当てながら、お話をお伺いしました。
 

 

名前

Miho

プロフィールUsui & Kundalini Reiki マスター&講師
Oncology & 直傳靈氣 プラクティショナー
シータヒーリングプラクティショナー
メディカルアロマテラピーアドバイサー&講師
ホーグ病院勤務(https://www.hoag.org/specialties-services/other-programs-services/pelvic-health/meet-the-team/reiki/)
略歴コメント2015年から2017年までは家族、友人、個人のクライアントさんにヒーリングを行っていました。2018年から老人ホーム、2019年からホスピス、病院のがん病棟で働いている傍、個人のクライアントさんにヒーリングをしております。

ヒーリングとは何か?

―Mihoさんはじめまして。恐縮ですが「ヒーリング」という言葉があまり馴染みがありません。アメリカの医療現場で行われているヒーリングとはどのようなものか教えていただけますでしょうか。
私が働いているHoag Hospitalでは、患者さんやそこで働くスタッフ達にレイキヒーリング、アートセラピー、ドラムサークル(音楽セラピー)、気功、瞑想、ヨガクラス等の自然療法によるヒーリングやセラピーが西洋医学のサポートとして提供されています。ヒーリングやセラピーによって、リラックスし、心身の痛みやストレスを軽減し副作用などを抑えるサポートをします。
 

Mihoさんの働くHoag Hospitalの写真
私が働いている癌病棟ではレイキマスターやプラクティショナーががん闘病中の患者の皆様、またその治療に関わる方々(ケアギバーの皆様・看護師・お医者さん・ソーシャルワーカーの方々など)へレイキヒーリングが自然療法と西洋医学の統合医療として行われています。他に私が働いているホスピスではレイキに加えアロマテラピー、針鍼灸も推奨しています。
―一言で「ヒーリング」といっても、その種類は多岐に渡るのですね。
その中でMihoさんが専門とされているReikiについて教えていただきたいです。
レイキセラピストがエネルギーを自分の身体を通して患者さんに送り込むセラピー法です。レイキによって不必要なエネルギーをきれいにし、新しいエネルギーを心身に送り込むことで、痛み、ストレス、不安等の各種症状を和らげ、副作用、不安、痛み、ストレスを軽減しリラックス効果によって心身の健康維持をサポートします。
近年ではヨーロッパはさることながら、アメリカ各地の大きな病院、ホスピス等で患者さん、医師や看護士等のスタッフの皆様に西洋医学との統合医療、自然療法としてレイキセラピーが取り入れられています。

―Mihoさんは”ヒーラー”とのことですが、ヒーラーとは、どのような方を指すのでしょうか。
私たちの様に人の心身や魂を癒す、ヒーリングを施す人達はレイキマスター・プラクティショナーも含め「ヒーラー」と呼ばれる場合があります。

アメリカの現場では、どのようにヒーリングが取り入れられているのか?

―Mihoさんの病院では、どのような体制でヒーリング療法が行われているのでしょうか。
レイキやアートセラピー、ドラムサークル、お化粧セラピーなどの複数のサポートプログラムが病院にあり、その中から患者さんがサインナップする形で、プログラムが提供されます。
レイキヒーリングは6人程のチームで構成され一人の患者さんに対して1−3人のセラピストで施術をさせていただいております。Hoag Hospitalで働くレイキマスターの人種は様々で日本で生まれ育った日本人は私のみです。その他のセラピー、例えば瞑想等は大人数に対し一人のインストラクターで構成されています。
―治療のどの段階で、ヒーリングを受けてみるという選択肢が挙がるのでしょうか。
私の職場では、がんと診断が出てから治療終了まで5回のヒーリングが無料で受けられます。その後はレイキセラピストとの個人的なセッションをご希望であれば続けて受ける事も出来ます。
※Mihoさんの職場のヒーリングルームの様子
―早い段階で選択肢にあがるのですね。
はい、実際に診断を受けた直後の患者さんがヒーリングにいらした事もあります。私の働く病院では早い段階で患者さんに選択肢が与えられます。アメリカの癌治療は通院が一般的であるため、その通院の合間を利用して受けられる方が多いです。
他の病院で行われているレイキヒーリングがいつの段階で患者さんに提供されているのか実際そこで働いた事がないので”一般的にこの段階から”という断言はできません。また、私が働いているはがんセンターなのでがん患者さんがメインですが、他の病院ではガン以外の患者さんにも施されていると聞きました。
―その効果はどうでしょうか。
ヒーリング後に患者さんに0-5のスケールで良い悪いが判断していただくアンケートに答えて頂き、約9割の方から5の回答をいただいております。副作用、不安、ストレスの軽減、リラックス効果を実感されてヒーリングルームを後にされます。
また、英語ですがハートフォード病院におけるレイキの効果をグラフ化した記事と科学的に証明されているサイトはこちらに記載があります。
 

※画像をクリックすると記事にリンクされます。
―Mihoさんが施術中のコミュニケーションの中で気を付けていることなどありましたら、教えていただきたいです。
患部には手を触れないこと。そして、におい(香水はもともとつけないのですが、アロマなども含め香りのしないものを身に着けるようにしています。)には気を使っています。また、私自身がガン治療を経験したことがないので、患者さんのお気持ちは計り知れません。ヒーリング中にその方に降りてきたメッセージは伝えますが、それ以外は患者さんのお話を耳を傾けながら施術させて頂いています。ヒーリングが終わり心身共に少しでも癒され楽になり、笑顔でお部屋を後にする方々に施術をさせていただける事が本当にありがたいと感じております。
―がん治療の選択肢のひとつとして、ヒーリングは保険適用となるのでしょうか。
レイキはヨーロッパでは保険適用の国もありますが、アメリカではまだです。レイキ関係者、お受けになってる方々は近々にレイキが保険適用になる事を期待しています。
―ヨーロッパやアメリカでヒーリングが発展している背景には、医療費が高いなどの医療制度の違いが関係しているのでしょうか。
ポイントは、三つあると思っています。
そうですね、アメリカにおいては、一つは医療費が高いこと。たヒーリングの話からは少々話は逸れますが、分かりやすい例えで歯科治療は虫歯になってから治療するのでは高額な医療費がかかってしまうので(持っている保険によって金額は異なる)虫歯の予防のために歯のクリーニングを年に2度程メンテナンスをします。
現在は変わって来たと思いますが、私が日本に住んでいた頃は日本では歯医者は虫歯になってから行く所でした。

レイキのクライアントさんの多くはご自身で副作用、不安、痛み、ストレスの軽減、リラックス効果を高める事で心身共に病気にならない体作り、病気の再発や持病の悪化を防ぐ為に施術を受けに来られています。自然療法が健康維持に有効であると言う意識の現れだと思います。

―「日本では虫歯になったら歯医者に行く、アメリカでは虫歯を予防するために歯医者に行く」という考え方にはハッとさせられました。
はい、また二つ目に、私の職場がある西海岸は、車社会なので自分が運動する機会を作るしかありません。スポーツジムは人で溢れ、多くの人たちが仕事の合間をぬってジョギングをしたり、何キロもロードバイクで走ります。心身の健康を保つ為の知識を積極的に取り入れる意識が自然療法をそのチョイスとして受け入れる環境にも繋がっていると思います。

そして三つ目は、いろんな人種の方が暮らしていること。それにより、様々な医学や療法がありそこから自分に合った治療はどれか?と自分で選べる人々の意識と社会構造があります。自然療法もその選択肢の中に入っているのです。
例えば、一人のお医者様の診断や治療法だけではなく他の西洋医学や自然療法、統合医療等のスペシャリストにセカンドオピニオンを求め、自分で納得の行く治療法をスペシャリスト達と相談して行きながら選ぶのも一般的です。

―ヒーリングが発展する背景のお話は、国や自分の住んでいる環境・生活によって意識の差異はあれど、自分の身体とどう向き合っていくか、という考え方のヒントになるお話だったと感じます。
他にMihoさんからお知らせなどはありますか?
私の癌サバイバーの友人が日本で行われている患者さんやそのご家族の交流の場「がん哲学外来カフェ」カリフォルニア支部の代表を勤めております。そちらからの情報で日本やカリフォルニアで上映予定「がんと生きる言葉の処方箋」の公開日時等をシェアさせて頂きます。必要な方のお役に立てましたら嬉しい限りです!

―貴重なお話をありがとうございました。現場のヒーリングのお話は、病院によって異なる点はあるかと思いますが、とても参考になりました。

Mihoさんも仰っていた、「自分に合った治療はどれか?」ということで色々な選択を知ることは、自分らしい生活を送っていく中でプラスになることも多いと思いました。
一方、日本における代替療法や民間療法は、保険適用でなく高額になることもありますので、その効果や方法をしっかりと説明してもらい、目的や副作用を理解した上で検討することも必要だと思います。



アメリカの各病院での統合医療、コンプリメンタリー療法としての文献:
・コロンビア大学メディカルセンター https://www.nyp.org/clinical-services/integrative-health-program
・UCLA HEARTH https://www.uclahealth.org/rehab/integrative-therapy
・Stanford HEARTH CARE https://stanfordhealthcare.org/events/chair-reiki.html
・Harvard MEDICAL SCHOOL https://www.health.harvard.edu/newsletter_article/Healing_touch_Hands-on_help_for_the_heart

参考URL:ヒーリングとは? マッサージの用語集

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