直感的に知っていてほしいと思った人にのみ話をした、病気のこと…
仕事で勤務していたロンドンに戻る計画中の2013年、28歳で乳がん宣告を受けたココさん。そして最初の手術から4ヶ月後に再発。
再発で”死を意識”したことで「私は辛いまま人生を終わるのか?」と病気との向き合い方が変化したとインタビュー中でも語られています。
再発で”死を意識”したことで「私は辛いまま人生を終わるのか?」と病気との向き合い方が変化したとインタビュー中でも語られています。
「病気になってから健康や精神面のケア、予防医学に興味を持ち、今では加工食品の原材料をチェックするような健康オタクになってしまいました。遊びや仕事も目一杯楽しみつつ、独自の健康維持・再発防止に繋がる生活を心がけています。」というココさん。治療のことから、生活で気をつけている事やココさん流の思考にまで幅広く治療体験をお話しいただきました。
目次
プロフィール
名前 | ココ(36) |
病名 | 乳がん ステージII |
状況 | 2013-2014年に手術・抗がん剤・放射線を行い、現在は内服薬(タモキシフェン)服用中 |
安心するために受けた検査で告げられた「悪性」
―まず、どのように病状に気付き、お医者さんから宣告を受けたのかを教えていただけますか。
胸の辺りにニキビができており、嫌だな〜と思ってお風呂で触っていたら、胸にしこりがあることに気がつきました。
ずっと健康だったのでしこり発見後もあまり気にしていませんでしたが、ロンドンに戻る計画だったので、安心する為に検査を受けました。お医者さんから「悪性」と告げられましたが、何のことかわかりませんでした。深刻そうな顔つきなので「がんですか?」と聞いたら頷かれました。
ずっと健康だったのでしこり発見後もあまり気にしていませんでしたが、ロンドンに戻る計画だったので、安心する為に検査を受けました。お医者さんから「悪性」と告げられましたが、何のことかわかりませんでした。深刻そうな顔つきなので「がんですか?」と聞いたら頷かれました。
―告知を受けた際の気持ちを教えていただけますか。
安心する為の検査のつもりだったので、家族を心配させたくなく、1人で検査し1人で結果を聞きに行きました。無知で状況が把握できておらず、最初に頭をよぎったのが「私ロンドンに戻れないってこと?」でした(笑)
―宣告を受け、まず始めにやったことは何ですか。
頭が真っ白でしたが、家族に話さなきゃ、ということはわかっていました。どうやって話そうと悩みながら帰宅しましたが、気がついたら台所で泣きながら母親に話していました。
―治療された病院をどのように選ばれましたか。
検査をした家の近所のクリニックが聖マリアンナ医科大学病院と繋がりのある先生で、特段希望がなければそこの紹介状を書くと仰ってくれました。自分でも乳がんに強い病院を調べたところ、名前が上がってきた病院で、実家からも遠くなく、当時暮らしていた会社の寮から歩いて2分のところに当病院付属のブレスト&イメージングセンターがあったので、これも何かのご縁だと思ってそこに決めました。
―セカンドオピニオン等は受けましたか。
ずっと健康体で生きていたので信じがたかったのと、若年性がんということもあり、がん研有明病院でセカンドオピニオンを取りました。再発した際にも、同じ病院でセカンドオピニオンを取っています。
―病院選びのポイントがあればお聞かせください。
名医がいる、最先端の治療を受けられる、というもの大事だと思いますが、それ以外では科をまたいだ情報連携が強い病院をオススメします。
聖マリアンナは日本でも生殖医療分野が進んでいる病院ということもあり、抗がん剤の前の卵子凍結オプションはすぐに案内されました。
他のサバイバーの方へ話を聞くと、すごく興味があったのに案内されないまま治療に入った話を聞き、当たり前でないことを知りました。またがんになると、がんの科(乳腺外科)、内科、放射線科、生殖医療科等色んな科をまたがって治療を受けることになりますが、聖マリアンナは横の情報連携がとてもしっかりしていたので、安心でき精神的にも助かりました。
聖マリアンナは日本でも生殖医療分野が進んでいる病院ということもあり、抗がん剤の前の卵子凍結オプションはすぐに案内されました。
他のサバイバーの方へ話を聞くと、すごく興味があったのに案内されないまま治療に入った話を聞き、当たり前でないことを知りました。またがんになると、がんの科(乳腺外科)、内科、放射線科、生殖医療科等色んな科をまたがって治療を受けることになりますが、聖マリアンナは横の情報連携がとてもしっかりしていたので、安心でき精神的にも助かりました。
―チーム医療の連携体制が整っていた病院とのことで心強かったと思います。その中で、どのような医師が信頼できると思いますか。
私は素人ですが、自分の身体に起こることは自分で理解したいという性格で、自分のいうことを聞いていればいいという先生、明らかに説明を面倒くさがられる先生は合いませんでした。
人それぞれ信頼できるポイントは違うと思いますが、同じ目線で素人でもわかるように説明してくれて、考えを押し付けず、一緒に悩んでくれた先生は、今でも本当に感謝しています。
人それぞれ信頼できるポイントは違うと思いますが、同じ目線で素人でもわかるように説明してくれて、考えを押し付けず、一緒に悩んでくれた先生は、今でも本当に感謝しています。
乳がんの治療と生殖医療の手術について
―どこの病院で治療を行いましたか。
聖マリアンナ医科大学病院、聖マリアンナ付属ブレスト&イメージングセンターです。
再建は南雲クリニックです。
再建は南雲クリニックです。
―入院、通院どちらでの治療をおこないましたか。
手術は全て入院。抗がん剤・放射線治療・生殖医療は通院で行いました。
―具体的にどのような治療をうけられましたか。
手術、抗がん剤、放射線治療、内服薬による治療と、乳がんの標準治療はほぼ受けています。
卵子凍結の為の生殖医療の手術や投薬もしました。
卵子凍結の為の生殖医療の手術や投薬もしました。
―現状はどのような状態ですか。
最後の手術から7年経過し、1つの基準となる5年のマークはお陰様で無事通過できました。毎年の検査の結果は今のところ異常なしです。
心と身体は繋がっていると気づいてから変化した、副作用との向き合い方
―副作用としてつらかった事などありますか。
抗がん剤では髪が抜け、気持ちが悪くて食事が取れず体重が落ち、浮腫、便秘、痔、口内炎、貧血、倦怠感等の副作用は一通り経験しました。
―治療中、その副作用との向き合い方はありましたか。
とにかく身体の声を聞き、出てきた副作用に良い食品やサプリ等を探して試していました。
―例えば、これをすると改善できた等はありましたでしょうか。
浮腫みにはエプソムソルトやココナッツウォーター、免疫ダウンにはマヌカハニーや免疫アップスープ、敏感な頭皮にはオーガニックシャンプー等が、自分には効果がありました。
―気持ちの面での向き合い方はありましたか。
症状には対処しますが、「辛い」はあまりフォーカスしないようにしていました。
治療中辛い面も、悪い面も、かわいそうな面も、探せばいくらでもありましたが、そんな面ばかり見て自分を哀れに思っても、ちっとも病気は良くならないですし、むしろ心と身体は繋がっているので悪化すると途中で気がつきました。
それに気づいてからは、辛いことも良い面を探して活用するようにしようと心がけました。
治療中辛い面も、悪い面も、かわいそうな面も、探せばいくらでもありましたが、そんな面ばかり見て自分を哀れに思っても、ちっとも病気は良くならないですし、むしろ心と身体は繋がっているので悪化すると途中で気がつきました。
それに気づいてからは、辛いことも良い面を探して活用するようにしようと心がけました。
―なるほど。具体的に行った事があれば教えてください。
たとえば、髪が抜けてハゲになったので、綺麗に化粧してもらって写真撮影をし、放射線に毎日通うのがダルかったのでダンスのレッスンのついでに行き、全然動けない時は近所の散歩で野花を探したりどんぐりを拾ったりして楽しみました。大人になっても楽しいですよ♪
心構えを変えてからは、自分も楽で、色々なことに有り難みを感じるようになりました。
ネガティブな状況に向き合うのが出来なかっただけなのかもしれません。
心構えを変えてからは、自分も楽で、色々なことに有り難みを感じるようになりました。
ネガティブな状況に向き合うのが出来なかっただけなのかもしれません。
―心構えの変化でココさんご自身も楽になったというのは、はっと気づかされるものがあります。副作用はその後どのようになり、今現在はどうでしょうか。
内服中の薬の影響でたまに貧血になること以外は、副作用フリーです!
―がんになって肉体的・精神的に辛かったことはありますか。
肉体的には、治療は全部身体的に負荷が高かったですが、手術と抗がん剤が最もキツかったです。
また、がんは身体の病気と思われがちですが、精神的なダメージもかなり大きい病気だと実感しました。将来や治療への不安、絶対の正解が無い中での治療の選択、死を感じた時の恐怖、大事な人たちに迷惑をかけていること、気を遣わせること、自分が消化出来てない事実を人に話すこと、全て精神的な負担です。
―どのようなことをして、その精神的な負担を落ち着けましたか
最初は辛い状況に呑まれそうになりました。毎日泣いていた時期もあります。身体のケアは病院でしてもらえるけど、精神面は自分で探さないといけない。なんででしょうね。
サバイバーの会にも参加し、先輩方の声も聞きましたが、精神的な負担が大きい中で、初めての人の集まりに行くのもストレスでした。色んな本を読み、自分の想いを文章に落とし、気持ちを整理しようとしていました。
サバイバーの会にも参加し、先輩方の声も聞きましたが、精神的な負担が大きい中で、初めての人の集まりに行くのもストレスでした。色んな本を読み、自分の想いを文章に落とし、気持ちを整理しようとしていました。
”You are what you eat”=「あなたは食べるもので出来ている」
―体調管理や、後遺症を軽減するために何かやっていたことはありますか。
英語で”You are what you eat”=「あなたは食べるもので出来ている」という言葉がありますが、食と栄養が身体を作るのは本当だと思います。病気になってから治療するが現代医学ですが、予防医学に興味をもち、アーユルヴェーダの勉強をしたり、食生活アドバイザーの資格も取りました。古代から使われてきた漢方やハーブ、アーユルヴェーダの生活には人類の知恵が詰まっていて勉強になります!
―現在も体調に関して気を遣っていることや継続している習慣があれば教えてください。
手術から5年目の検査のオールクリアを父に報告した際、「一度患ってしまった病気を克服できたとしても、体質を変えていかなければ、また発病するかもしれない不安は消えないと思う。別人になるくらいの覚悟で体質を変える必要があるのでは?」と言われ、その通りだと思い、実行しようとしています。
身体や心に良いことをし、無理はせず、感謝の気持ちを忘れないようにしています。
身体や心に良いことをし、無理はせず、感謝の気持ちを忘れないようにしています。
―「まだ若い娘がこれから不安を抱えながら生きて行って欲しく無い。」という想いからの厳しく優しい言葉ですね。具体的にどのようなことをしているか教えてください。
食生活では自分で調べて納得したことを取り入れ、自分のルールを守っています。無理に100%守ろうとは思っておらず、ストレスが溜まらない程度に野菜中心で赤身肉・乳製品・加工食品などを控えるようにしたり、マーガリンやショートニング等は避けたり。
また、ヨガやウォーキングなど軽い運動、心の為にメディテーションを取り入れるのも意識しています。いつも出来ている訳ではありませんが、ヨガは朝やるとその日の体調が分かり、副作用の貧血が出ている時も自分で認識しやすいので、なるべく続けています。
インタビュー後編では、ご自身の今の生活や、出版された本からメンタルトレーニングについても詳しくお話しを伺いました。
ココさんの治療体験インタビューの続きはこちらから。↓