20才で末期の希少癌(非セミノーマ精巣がん・縦隔腫瘍)を治療、後15年再発なし。佐野さんの闘病体験談②

20才で末期の希少癌(非セミノーマ精巣がん・縦隔腫瘍)を治療、後15年再発なし。佐野さんの闘病体験談②

専門学校卒業・初就職から、現在の仕事について

── 当時専門学生だったということですが、学校はどうされましたか。
冬休みに入る間際であった為、冬休み明け1日だけ学校にいき、みんなにお伝えしました。
ちなみに卒業式だけは出席させてもらいました!
── 就職はどうされましたか。
就職先が決まっていましたが、一年入社を遅らせてもらいました。
── 現在どのような働き方をしているか教えてください。
普通に会社員として、働いています。
あまり残業がない会社を選びました。
ちなみに最初に待ってもらった会社はホテルのコックさんであり、体力勝負であったため続けることが困難でした。
── 現在のお仕事にいたるまでの経緯について教えていただけますか。
コックさん2年半→日本一周→ユニクロ3年半→鶏肉のおろし業者の会社員 (デスクワーク)。
── 就職の際、病気や体調のことは伝えましたでしょうか。
人事の方へ面接の時に言うようにしています。後々なんで言わんかったんだって言われるとめんどくさいので。
会社の方は、割とあっさりしていて、「そうなんだ~大変だったね~」みたいな感じで、自分的には割と他人事というか、こんなもんなんだ(笑)って感じでした。
── 現在仕事をしている中で気をつけていることはありますか。
頑張りすぎないようにする
オンとオフをしっかりつけ、ストレスを溜めないようにして、自分の体調面はできるだけ整えるようにしています。

更に良くなった、家族との関係

── 家族にはどのように、がんについて話されましたか。
検査結果は親も同席で聞いていた為、その時に一緒に知るといった感じです。
── その際にどのような反応がありましたか。
めったに泣かない父親が泣いてる姿を見た時はさすがに自分も泣きました
── 気持ちの変化や関係性の変化がありましたか。
元々仲は良かったのですが、癌を乗り越えたことで、両親・兄妹との関係は確実に更に良くなりました。

当時の友人たちへの報告と、結婚にいたるまで

── 友人・恋人にがんのことを話しましたか。
両方とも話しましたし、学生時分であった為、同じクラスのみんなにも入院前の最終登校日に伝えました。
── その際にどのような反応がありましたか。
お見舞いに来てくれたり、意外なクラスメイトが泣いたりしてくれたのが印象に残っています。
── 気持ちの変化や関係性の変化がありましたか。
卒業間際だった為、疎遠になる子が多かったですが、未だに連絡を取り合う人も何人かいます。
あんまり病気関係ないかな?(笑)
── 現在はご結婚され名古屋で暮らしているとのことですが、奥様と知り合った際、病気についてはどのように話されましたか。
奥さんは同じ職場で働いてた同僚でした。
日本一周のときにSNSで記事をあげていたので、付き合う前から病気の事とか自分が経験した事はやんわり知っていました
付き合って10年結婚して3年になります。
── ご結婚された際、夫婦2人で生きていくという選択のなかで、お話されたことがあれば教えていただけますか。
子供がいない未来自分の癌の事。自分がおそらく先に死ぬであろう事など、改めて話しました。

退院後バイクでの日本一周と、最近始めたこと

── 趣味はありますか。
毎年のねぶた祭とそこで1週間に及ぶアウトドア生活。
夫婦での年一回の桜旅行。
── 何か始めたこと等はありますか。
はじめたことは、手術からの退院後バイクで日本一周
ここ最近でいうと、ラジオでの情報発信
── 退院後、バイクで日本一周をしようと思ったのはなぜですか。
自分の知らない世界を見たり、自分の中の常識を変えたかったからです。
人生は一度きりなので、やりたいと思ったことをやりました。
癌経験して、日本一周…。
カッコええなと思いません?
カッコつけたかっただけですかね。(笑)
── かっこいいと思います!(笑)その際、病気にまつわる大変だった事はありますか。
半年に一回の検査期間中であった為、期間が制限されたこと。
体調が崩れると、再発が心配だったこと。
あと、旅で風呂行くと、必ず胸の傷の理由を聞かれ、何回も説明しなくてはいけなかった事です。
── 胸の傷は抗がん剤治療後の手術ですよね。精巣腫瘍とのことですが、胸のあたりの手術を行ったのでしょうか。
手術した部位としては精巣ではなく、胸の縦隔になります。もともと精巣腫瘍ではありましたが、胸の縦隔に転移していたので、胸に傷がガッツリ残りました
5%のリスクがあると言われるだけの事はあり、結構大掛かりな手術でした。
胸を20センチくらい開いて胸骨を開いて、癌細胞を取るという方法しか当時はなかったみたいです。
── 日本一周を終え、心境の変化や感じたことはありますか。
やってよかったし、やらなければ今の自分は絶対になかったと思います
いかに自分が狭い世界で生きていたかが分かりました。
常識に捉われない常識を手に入れましたし、いかに一期一会が奇跡で成り立っているかが分かりました。
── 素敵です。日本一周に関して、「なぜバイクにしたのか?」など含めさらに詳しくはラジオでもお話されています。是非きいてみてください。

闘病生活を振り返って

── あの時こうしていればよかったという事はありますか。
今更ですが、入院の時もっと周りを思いやることができればよかった。
日本一周のあと、そのまま世界一周に行けばよかった。
── 今、闘病中の方へ(完治の方)ひとことお願い致します!
頑張らないことを頑張ってください
逃げたい時はとことん逃げればいい。
僕の治療体験が少しでも勇気になればうれしいです。

佐野さん、ありがとうございました。
治療・闘病生活中の心境のお話などは佐野さんのラジオ「metoo radio」でお話されています。こちらもぜひ聴いてみてください。


インタビュー前編では、病気発覚から治療の内容や、当時の心境についても細かくお伺いしております。
 

今後も、がんにまつわる役立つ情報を
サードプレイスから受け取ってみませんか?