臓器別でのがん死亡のトップは「肺がん」で、がん全体の約2割にあたる約7万人が毎年なくなっています。
肺がんの最大の要因はタバコです。
タバコが身体へもたらす悪影響
タバコの煙には、ベンゾピレンをはじめとする発がん性物質が含まれています。
それらは、喉や肺のがんを増やすだけでなく、全身に運ばれ、膵臓がん、肝臓がんなど、難治性のがんの発症も高めています。
また、タバコはがん以外にも、心臓病(心筋梗塞)や脳卒中も引き起こし、タバコがなくなれば、日本人男性のがん死亡全体の約4割がなくなると言われています。
また、タバコは周りの人へも影響します。
副流煙の方が毒性が強いうえ、フィルターもありません。タバコを吸わない人でも配偶者が喫煙者だと、肺腺癌にかかる確率が約2倍へ跳ね上がります。
タバコを既に吸っている場合、今更禁煙しても遅い?
タバコを吸っている人は、「今禁煙しても遅い」と思うかもしれません。
しかし、禁煙を続ければ続けるほど肺がんで死ぬ確率は確実に減っていき、15~20年すればタバコを吸わない人と同じレベルに戻ると言われています。
■禁煙による医学的変化
血圧や脈拍が正常化する
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心臓発作のリスクが減る
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においと味の感覚が復活し始める
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呼吸が楽になる。肺の機能が改善する
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心機能が改善する
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咳、痰、息切れ、疲れやすさが改善される
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虚血性心疾患死亡率が非喫煙者と同じレベルになる。肺がんで死亡する率が半分に減る。
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日本循環器学会パンフレット「PASSPORT TO STOP SMOKING」を改変
禁煙するにはどうすれば良いか
タバコを吸うと一時的にストレスが解消されるため、なかなか禁煙に踏み切れない人も多いです。
実際はニコチン切れこそがストレス(不安やイライラ)を生み出す元になっており、実に喫煙者の7割がニコチン依存症で禁煙したいと思ってもやめられないと言われています。
初めは辛いかもしれませんが、イライラなどの禁煙の離脱症状は2、3日をピークに徐々に軽くなっていきます。
ニコチン依存症治療については公的医療保険が使えるようになったので、なかなか禁煙できない方は禁煙外来を受診してみてください。
離脱症状を防ぐ禁煙補助薬によって、禁煙の成功率は70~80%と約2倍になります。
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参考文献:がん検診のススメ第4版「先生、がんから身を守るには、どうしたらいいでしょうか?」 – 監修 中川恵一