胃の切除手術後におこるダンピング症候群ってなに?仕組みと予防法

胃の切除手術後におこるダンピング症候群ってなに?仕組みと予防法

胃を切除すると、食べ物を溜めておいたり、たんぱく質や脂肪などを分解する胃の機能が失われるため、様々な後遺症が起きます。これを胃切除後症候群と呼びますが、胃のどの部分を切除したか、どのくらい切除したのかで、症状が変わってきます。

ダンピング症候群って、どんな症状?

中でも、幽門部を切除する幽門側胃切除をした場合、食べ物をためておく機能が失われ、小腸に食べ物が一度に流れ込み全身症状が起こります。これをダンピング症候群といいます。
ダンピング症候群には、食後にすぐ起こる「早期ダンピング症候群」と、2~3時間後に起こる「晩期ダンピング症候群」があります。

「ダンピング」とは、ダンプカーが土砂や荷物などを一気に投げ下ろす事を表す言葉で、食べた物が食道を通り、胃の機能を失った残胃や十二指腸に大量に流れる事によって起こる、様々な不快な症状です。

 

早期ダンピング症候群が起こる仕組み

糖質を多く含む甘い食べ物(浸透圧の高い食べ物)を食べると、急激に胃から腸に排出され、さまざまな不快な全身症状を引き起こします。
 

浸透圧の高い食べ物が急激に腸に運ばれる腸の動き(蠕動)が激しくなる腸から血管に作用する物質が分泌され、全身の血管が広がる冷や汗やめまいなどの症状が出現する

 

発症する時間食後5~30分くらい
症状冷や汗、動悸、めまい、しびれ、だるさ等の全身症状
腹痛や下痢、吐き気、嘔吐、腹部膨満感などの腹部症状

 

晩期ダンピング症候群が起こる仕組み

ごはんやパン、麺などの炭水化物が胃から小腸に急速に流れ込み、一時的に高血糖を起こしたあとインスリンが分泌されることで低血糖になり起こる症状です。
 

炭水化物が小腸に急速に流れ込む炭水化物に含まれる糖質が、急激に血液の中に吸収されて、一時的に高血糖になる糖を処理するインスリンというホルモンが、糖の吸収が終わっても分泌され、そのため低血糖になる

 

発症する時間食後2~3時間くらい
症状頭痛、倦怠感、発汗、めまい、脈や呼吸がはやくなる

 

ダンピング症候群を予防するには

飴をすぐに食べる

晩期ダンピング症候群では、低血糖が原因で様々な全身の不快症状が現れるので、飴などのブドウ糖を補給し、血糖値を上げて症状を落ち着かせましょう。

食事はゆっくり、よくかんで食べる

口を胃の代わりにしてゆっくりよく噛み、口の中で食べ物と消化酵素を混ぜ少しずつ飲み込むと、ダンピング症候群の予防になります。

横になってしばらく休む

早期ダンピング症候群の症状が現れたら、無理をせず、すぐ横になって症状が落ち着くまで、しばらく休みましょう

腹八分目にする

食べすぎもダンピング症候群の大きな要因になるため、栄養バランスを考え、腹八分目を心がけながらゆっくり食事をしましょう。
 
 


胃の切除に関して、ダンピング症候群をはじめとした、切除後に起きる後遺症の症状ごとに食事のポイントもまとめています。↓
 

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ベクトル画像 著作者:Business vector created by macrovector – www.freepik.com
参考文献:毎日おいしく食べる! 胃を切った人のための食事 – がん研有明病院 比企 直樹(著)

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