副作用の中で比較的よく出る2つ「骨髄抑制」「食欲不振・吐き気…
抗がん剤治療を受ける目的は大きく4つに分けられます。
- 根治を目指す抗がん剤治療
- 術前化学療法
- 術後の再発を予防するための抗がん剤治療(術後補助化学療法)
- 延命を目指す抗がん剤治療
1
完治を目指す抗がん剤治療
抗がん剤投与を行うことでがん細胞をほぼ死滅させ、根治が期待できる場合です。
白血病、悪性リンパ腫といった血液のがんが対象になる事が多く、これらの病気は、抗がん剤だけで完治を目指すことができます。
2
術前化学療法
がんが大きく手術で切除することが難しい時や、手術前に抗がん剤治療をしておいた方が良い効果が期待できる場合に行われます。
乳がん、卵巣がん、食道がんなど、様々ながんが対象にです。
3
術後の再発を予防するための抗がん剤治療(術後補助化学療法)
目に見えるがんは、手術で完全にとりきれますが、目に見えない小さな癌細胞が体内に残っている可能性があります。
手術をした後に抗がん剤を投与する治療を「術後補助化学療法」といいますが、手術を受けた全ての人が抗がん剤治療をするわけでなく、再発の可能性が高い場合に行います。
4
延命のための抗がん剤治療
胃、肺、大腸、肝臓、乳房、子宮などの固形がんで、手術で切除できない範囲まで広がっている場合や、手術で切除した後に再発した場合が対象となります。
固形がんの多くは抗がん剤だけで全てのがんを消すことは困難のため、がんの進行を抑えて症状を緩和することが第一の目的となります。(ただし、精巣がんや絨毛がんは、抗がん剤だけで根治できるので固形がんの中でも特殊な部類です。)
延命のための抗がん剤治療で大切な3つの事
延命のための抗がん剤治療には大切なことが3つあります。
- がん細胞を増殖させないようにする
- 副作用に対応できるよう体力を温存する
- 抗がん剤治療を止める時の戦略を立てておく
①がん細胞を増殖させないようにする
大切な事はいかに長期にわたって、がん細胞の増殖を防ぐかということで、がんを小さくすることが目的ではありません。
がんがどの程度小さくなるかということは長く生きられる事とはあまり関係がありません。
がんの大きさが小さくならなくても、がん細胞を増殖を防ぎ、それが長い期間維持できる方がいいのです。
②副作用に対応できるよう体力を温存する
抗がん剤が効かなくなっても、別の抗がん剤を受けられるように、体力を温存する事です。
副作用によって体力が低下していくと、本来ならば受けられた別の抗がん剤を受けられずに治療を止めることがあります。
常に体力を温存する事を心がけてください。「抗がん剤が効いているから、多少の副作用は我慢しよう」というような体力の消耗に繋がることは、長い目で見ると治療のメリットを受けられません。
③抗がん剤治療を止める時の戦略を立てておく
どんな状態まで抗がん剤治療を続けるかを決めておく。
抗がん剤をやめて緩和医療に専念するという決断は医師にとっても患者さんにとっても大きな分岐点です。
ですが、抗がん剤でがん細胞の働きを抑えられずに治療を受け続けている場合や、日常生活が送れなくなるほど体力がなくなってきたにも関わらず抗がん剤を続けていき、体力がさらに奪われていくというケースは要注意です。
延命が目的である抗がん剤治療の場合は、少しでも長く生きるという事が最大の目的です。それを見失わず最後まで体が弱ってまで抗がん剤を続ける必要はありません。
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参考URL:抗がん剤治療は 何のために行うのですか?第1章がんの治療・抗がん剤治療について – 熊本大学病院 血液・膠原病・感染症内科(陶山浩一)
参考文献:抗がん剤治療を受けるときに読む本 – 著者 加藤隆祐 小樽協会病院消化器内科主任医長。日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、がん治療認定医、日本消化器内視鏡学会専門医。