「(補完)代替療法」を検討する際のポイント

「(補完)代替療法」を検討する際のポイント
はじめに、補完代替療法とは?

がんの治療として行われる医療(手術療法、薬物療法、放射線療法)を補う治療法や、それらに代わって行う治療法を、(補完)代替療法といいます。
心理・精神療法、芸術療法、運動療法、温泉療法をはじめ、指圧、マッサージ、鍼灸(鍼と灸)、整骨、気功、ハーブやサプリメント・健康補助食品など、さまざまなものが含まれます。

代替療法や民間療法を取り入れる場合は、十分な情報を得た上で、そのメリット(心理的な安心感から体調がよくなるなど)と、デメリット(がんに対する有効性が科学的に認められていないことや、高額な費用がかかるものがあるなど)をよく考慮する必要があります。

代替療法の内容を理解し、慎重な判断を

一部の代替療法は安全なものですが、それにより実害が生じることもあります。
たとえば、抗がん剤と併用すると相互作用*を起こしたり、病状が悪化したりするなど、がんの治療に影響を及ぼす場合もあります。
そのため、代替療法に興味があるときは、担当の医師や看護師に、現在行っている治療を続けながら安全に行えるかどうかを相談してください。
厚生労働省の「総合医療」情報発信サイトでは、さまざまな代替療法に関する情報発信を行っています。

もし代替療法を受けることを希望する場合は、方法をしっかりと説明してもらい、目的や副作用(がんの症状や薬の副作用を改善できるか、安全性がヒトで確認されているかなど)について聞いておきましょう。
また、提供者が医師免許や特定の施術技術を保証する免許などを持っているかなどについても確認しておきましょう。

現在受けている医療を完全否定する場合や、がんが絶対に治ると主張したり、特定の医療機関への受診を誘導したり、費用があまりに高額だったりしたときは、慎重に判断する必要があります。

*相互作用
ふたつ、またはふたつ以上の物質(薬品など)を併用することで、ひとつの(または互いの)物質の作用が増強したり、弱まったりすること。

サプリメント、健康補助食品を使用する場合も医師に相談を

サプリメントや健康補助食品は、ハーブや、ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養成分を含む、栄養補給のための食品で、さまざまな種類のものが市販されています。
「自然の物質からできたサプリメントなら安全」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、サプリメントや健康補助食品も体内で薬と同じような働きをしたり、薬との併用で相互作用(薬の効果が減少する、または効きすぎる)が生じたりする場合があることがわかっています。「天然=安全」を意味するわけではないことを頭において、使用する前に、医師や看護師に相談してください。

現在、がんの治療に効果があると科学的に証明されたサプリメントはないというのが、専門家の共通した認識です。健康食品の安全性や有効性の評価については、国立健康・栄養研究所のホームページなども参照してください。

[がんの漢方療法]
がんの治療には、おもに倦怠感(だるさ)、食欲不振、体重減少などの全身状態の改善を目的に、気力・体力を補う補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などが使われる。
ほかにも、がんの種類によって、手術・放射線・抗がん剤治療後の合併症や副作用の改善に用いられるものがある。
漢方薬の使用でも副作用や相互作用がおこることがあるので、自己判断せず担当医に相談の上で使用する必要があります。

 



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参考文献::国立がん研究センターの肝・胆・膵がんの本 (国立がん研究センターのがんの本) – 監修 国立がん研究センター中央病院副院長、肝胆膵外科科長 島田和明 / 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科科長 奥坂拓志 / 国立がん研究センター東病院肝胆膵内科科長 池田公史

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