前回の記事では、女性にもっとも多い「乳がん」の最近の傾向につ…
乳がんの増加について
女性が罹るがんのなかで、もっとも患者数が多いのが乳がんです。
乳がんの新たにかかった人の数は1977年からの35年間で約7倍と年々増加しており、2013年には約8万人が乳がん*と診断を受けました。
*がん情報サービス「2017年のがん統計予測」では1年で約9万人の罹患数と統計が出ています。
データをもとに生涯で乳がんに罹患するリスクを調べたところ、日本では11人に1人の割合でかかることがわかっています。
乳がん患者のうち、特に増えているのは0期やⅠ期の初期のがんで、Ⅱ期以降は減少しています。
乳がんは他のがんに比べて予後(治療後の経過)がよく、生存率は高めです。
そのため、女性がかかるがんのなかでいちばん患者数が多いにも関わらず、2016年の死亡数でみると大腸、肺、膵臓、胃に次いで第5位となります。
実は国や人種を問わず増加傾向にある
乳がん患者の増加は世界的な傾向でもあり、欧米の白人、黒人の順に罹患率が高くなります。
比較すると日本人をはじめとした東アジア諸国の人種の患者数は少なくなるものの、全体的に増加はしています。
また同じ日本人でもアメリカに住む日本人は、日本国内在住者より高い傾向があります。
そのアメリカにおいては乳がん患者の増加が問題視されており、全女性の8人に1人の割合で乳がんにかかるといわれています。
そこで、アメリカやイギリスでは国をあげてマンモグラフィ検査の普及などの対策を行ったところ、依然として罹患率は高いものの、1990年から乳がん死亡率が下降し始めました。
発症のピークは40代
ほとんどのがんの患者数は60歳代から増加し、高齢になるほど増えます。
しかし、乳がんに関しては30歳くらいから増え始め、45~49歳でピークを迎え、その後減少するという特徴があります。
若い疾患率が高い乳がんは、働き盛りであったり子育て真っ最中の女性を襲う病気である事を示しています。
とはいえ、高齢者の患者さんも多く、80歳を過ぎてから乳がんになる方もいます。
閉経後の乳がんが増えていることも最近の特徴のひとつで、現在では閉経前と閉経後の患者数はほぼ同じくらいです。
欧米では閉経後の人のほうが多く、高齢での乳がん罹患率が増えています。
乳がんが増加傾向にある理由については、「エストロゲン」が関係していると考えられており、詳細ついては次の記事でまとめたいと思います。
ベクトル画像 著作者:People vector created by freepik – www.freepik.com
参考URL:日本女性に増え続ける乳がん | 乳がんとは | 乳房再建ナビ – <参考・協力>福田 護ほか:ピンクリボンアドバイザー認定試験公式テキスト『ピンクリボンと乳がんまなびBOOK』発行/社会保険出版社 発売/主婦の友社,2013
参考文献:国立がん研究センターの乳がんの本 – 監修木下貴之
国立がん研究センター中央病院乳腺外科科長 / 田村研治 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科科長/通院治療センター長