発生部位によって異なる、「胆道がん」の病期分類

発生部位によって異なる、「胆道がん」の病期分類

発生部位によって異なる病期(ステージ)分類

胆道がんの病期分類は発生部位によって異なりますが、基本は他のがんと同じで、腫瘍の大きさや広がり具合(T因子)、リンパ節転移の有無(N因子)、ほかの臓器への遠隔転移(M因子)によるTNM分類により決まります。
この分類は、治療法の選択や予後予測などに役立てられます。
N因子やM因子については、どの発生部位でも共通しているため、T因子のみ発生部位別の特徴をまとめます。

肝内胆管がん

腫瘍の数、大きさ、血管や漿膜*(しょうまく)への浸潤の有無。

*漿膜
臓器表面を包む薄い半透明の膜。

肝外胆管がん(肝門部)

腫瘍が胆管内にとどまっているか(胆管壁を超えるか)、門脈または肝動脈への浸潤の有無、肝内胆管の二次分枝まで浸潤の有無。

●肝外胆管がん(肝門部)の病期

肝外胆管がん(遠位)

腫瘍が胆管内にとどまっているか(胆管壁を超えるか)、肝実質*への浸潤の有無、胆管そばの門脈や肝動脈への浸潤の有無、肝内胆管の二次分枝までの浸潤または肝動脈への浸潤の有無。

*肝実質
肝臓のうち血管と胆管を除いた肝細胞の部分。

●肝外胆管がん(遠位)の病期

胆のうがん

腫瘍が胆のう固有筋層*にとどまっているか、漿膜下層への浸潤の有無、漿膜や肝実質および周辺臓器への浸潤の有無、肝臓以外の周辺臓器への浸潤の数、門脈本幹または総肝動脈、固有肝動脈への浸潤の有無。

*胆のう固有筋層
胆のう壁の組織学的分類のひとつ。

●胆のうがんの病期

[出典]日本肝胆膵外科学会 編、『臨床・病理 胆道癌取扱い規約 第6版』金原出版,2017年をもとに一部改変

十二指腸乳頭部がん

腫瘍が乳頭部粘膜内にとどまっているか、十二指腸への浸潤の有無、膵臓への浸潤の有無、膵臓を超えた浸潤または周辺臓器への浸潤の有無。

 
 
胆道がんに関する検査と診断の流れ・治療法の選択についてはこちらの記事に記載しています。

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参考文献: 国立がんセンターの肝・胆・膵がんの本 - 監修 島田和明 / 奥坂拓志 / 池田公史

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