抗がん剤の治療中に感じる倦怠感には、「抗がん剤自体によって生…
前回の記事で倦怠感は、「抗がん剤自体によって生じる場合」と「抗がん剤以外の原因によって生じる場合」があるということをご説明しました。
こちらの記事でA〜Eの質問に該当する物があるか確認してみましょう。
それぞれの対処法について
A. 貧血
貧血の目安となるヘモグロビン濃度の正常値はおよそ11~16mg/dlですが、この値が1下がるだけで倦怠感を感じることがあります。
ヘモグロビン濃度が低い場合は主治医に相談し、抗がん剤の副作用によって起こっているのかを確認してください。
実は鉄分の不足による貧血である事が判明する場合もあります。その時は鉄分の補給で解決ができます。
貧血での日常の注意点などこちらの記事でまとめています。
副作用の原因 赤血球にはヘモグロビンという血色素があり、肺で…
B. 睡眠不足
夜にぐっすり眠れるようになるだけでも倦怠感は改善します。次のような工夫をすると不眠が改善すると言われています。
- ベットにいる時間を減らす
- 就寝時間にかかわらず同じ時間に起きる
- 眠くなるまでベッドに入らない
- 眠る時以外はベッドに入らない
不眠の解消についてはこちらの記事にもアドバイスがのっています。
だるさは、人からわかりづらく軽く見られがちな症状ですが、続く…
睡眠薬を用いた薬物療法、あるいは呼吸法やアロマセラピー、入浴、足浴、音楽などのリラクゼーションによって解消をはかります。
痛みによる不眠がある場合は、痛みの緩和治療が必要です。また薬剤による不眠の場合は、原因となっている薬剤の変更・中止が検討されます。
C. 精神的な落ち込み
病気の事ばかり考えていると精神的に落ち込む傾向があります。夢中になれる事や、好きな事をする時間を作りましょう。
誰かに話を聞いてもらったり、自分の好きな場所に行ったり好きな音楽を聴いたりしてください。
特に信頼できる誰かとコミュニケーションをとるを事は良いリフレッシュになります。
良好なコミュニケーションをとる方法については、こちらも参考にしてみてください。
前回の記事では、自己表現する際の伝え方にはパターンがあり、そ…
D. 抗がん剤以外の薬
がんになるといろんな種類の薬を飲まなければならない場合があります。
1つの症状に対して1つの薬を処方された場合、いつの間にか20種類もの薬を飲むようになっているという事もあります。
不必要な薬を飲んでいる時もあるので、薬は必要なものだけを処方してもらうようにしましょう。
診察時に主治医から薬が増えると言う説明があったときには、「薬が増えるなら、逆に何か減らせる薬は無いですか」と確認してください。
倦怠感が出やすい薬には、次のものがあります。
- 抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)
- ベンゾジアゼピン系の抗不安薬(不安を和らげる薬)
- 抗精神病薬(不安を和らげる薬)
- 吐き気止め
- オピオイド(モルヒネに豚汁薬)
- 鎮痛補助薬(痛み止めの薬)
これらの薬を常用していて倦怠感が辛い場合には、減量したり休薬したりできるかを主治医に確認しましょう。
実際に試さないとわからないので医師と試行錯誤することが大切です。
E. 食事の量
食事の量が減ると、倦怠感やだるさを感じることがあります。
ただし健康の時にとっていた食事の量過食気味になっていることが多いので、当時の7割程度を目安に考えてください。
食欲がない時の対処法についてはこちらの記事が参考になります。
人は何もなくても食べ物を食べて栄養を摂らないと飢え死にしてし…
倦怠感やだるさの原因や検討する項目を一つ一つ確認し倦怠感を改善させていけるといいと思います。
ベクトル画像 著作者:Woman vector created by pch.vector – www.freepik.com
参考URL:【副作用】抗がん剤による副作用のセルフケア(4):疲労感 ・倦怠(けんたい)感 – 大腸がん情報サイト 監修:小泉和三郎 北里大学医学部 消化器内科学 主任教授
参考文献:抗がん剤治療を受けるときに読む本 – 著者 加藤隆祐 小樽協会病院消化器内科主任医長。日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、がん治療認定医、日本消化器内視鏡学会専門医。